国際化の中、我が国の留学生数は増加しており、今後も増加が予想されています。
留学生は若者としての人生における成長、学生としての学業の達成、異文化に適応したり母文化を伝える文化的課題といった重層的な課題があり、異文化で生活を始める様々な人々の中でも不適応を起しやすい集団と言われています。
しかし留学生の異文化適応について調査した研究は国内では未だに少なく、本プロジェクトでは在日留学生のソーシャルサポート、自己効力感、異文化適応と精神的健康の関連を調査したため、その結果を発表します。
インターネット社会、過労死と働き方改革、超高齢社会という社会背景の中で、不眠は人々の健康と生活の質に直結する重要な課題です。
従来の睡眠治療で多く用いられてきた睡眠薬は、高齢者や身体疾患を持つ人への使用はリスクを伴うこと、依存と耐性が生じることが明らかになっており、近年は薬剤に頼らない介入方法が注目されています。
本プロジェクトでは、不眠に対する非薬理的介入の効果について外観することで、介入効果の得られた方法と今後の課題について明らかにし、発表します。
せん妄は、身体疾患の重症化、事故リスク、患者の不安の増強、入院期間の長期化などの問題を引き起こします。今回、ケアの実態について文献レビューを行い、
①低活動型せん妄が見逃されている
②せん妄と認知症が区別されていない
③せん妄の評価尺度が活用されていない
④ケアチームが大規模病院にしかない
⑤薬剤使用や身体拘束に対する看護師のジレンマがある
という課題が明らかとなりました。これらの結果に基づき、せん妄ケアに対するリエゾン精神看護の役割について考察したので発表したいと思います。
青年期・思春期の自閉症の子どもへの支援が課題となっています。
支援の中心的な担い手である親が抱える問題および現在行われている支援について文献レビューを行いました。
親は、
①親自身が感じる問題(自己肯定感の低下、罪責感、疲労感)
②他者からの影響で感じる問題(他の子、他の親と比べての葛藤、孤独感)
③社会に対して感じる問題(社会に適応できるか不安、将来の心配)
を抱えており、
①肯定的注目を用いた親支援、
②ペアレントトレーニング
が実施されていることがわかりました。
精神疾患合併妊婦は妊娠期から産後、子育てまで様々な困難を抱えているため、起こりうる問題と現在行われている支援を明らかにするため文献レビューを行いました。
その結果、妊娠期には定期的受診が困難であり、医療者は精神状態が不安定な妊婦への対応に困難を感じていること、妊婦は抗精神病薬による奇形や異常出産等のリスク、減量による精神症状悪化のリスクを抱えていること、産後の子育てに関わる家族や社会的支援に関する課題が大きいことなどがわかりました。
これらへの取り組みについて整理し、課題を考察したので発表します。
精神障害者(統合失調症)の仕事定着率は極めて低く、定着の促進要因と阻害要因を明らかにすることで就労支援のあり方を検討したいと考え、文献レビューを行いました。
①促進要因には本人の自信、目標・周囲からの支援、職場環境、働くことによる気持ちの変化、病気をカミングアウトすること
②阻害要因には、発病による生活障害、薬の副作用、世間や職場の目、現実的な制限や問題・治療との両立
③家族の存在や地域の風土は促進・阻害のどちらにもなりうることが分かりました。
結果をもとに必要な支援を考察しましたので発表します。