ORF2013 開催直前対談 小松健作 × 一色正男

Open Web Platform とコミュニティ
-産業構造の活性化に無限の可能性-

SFC研究所は、information、multi-discipline、policy、nursingの多岐にわたる分野で研究活動を行う一方、World Wide Web Consortium (W3C)の東アジア担当ホストとして、MIT、ERCIM、Beihang Universityとともに、W3C(Webで利用される技術の標準化を進める国際的な非営利団体)の共同運営に従事している。パソコンのブラウザでページを見るために開発されたWebという技術が、パソコンのみならず、あらゆるデバイスのアプリケーションプラットフォームになる可能性を示し始めている中、Webに草創期から深いかかわりを持つお二人に話を聞いた。

NTT コミュニケーションズ(株)と SFC 研究所 W3C の関わり

一色 XHTMLとHTML5、どちらを標準にするか、二極化していた時期がありましたが、それを統合しようと決めたのが2009年6月のW3C Advisory Committee Meeting (AC会議)でした。全てHTML5になったら、これから全ての産業にHTML5を入れなければならない。日本はHTML5をしっかりキャッチアップしないと大変なことになる。そこで、当時私は、W3CにHTML5のコミュニティを作ろうと提言しました。実際はコミュニティを作ることはできなかったのですが、HTML5 Japanese Interest Groupというメーリングリストを作りました。komatsuそのメンバーをどうしようかとネットで検索してみたら、小松さん、白石さん、波多野さん、及川さんというようなHTML5のエヴァンジェリスト達がいました。私は初めてその職種を知って、これはすごいと思い、その人たちに一緒にやりませんかと話をしたのがそもそものスタートでした。その頃に、NTT(株)から紹介を受けたのがNTTコミュニケーションズ(株)の小松さんでした。

小松 当時HTML5は、今ほどは注目されていませんでしたね。

一色 まったくです。みなさん半信半疑でした。実際、XHTMLでできたことがHTML5では全部できませんでしたから。それを統合してHTML5という仕様にまとめていこうという話を始めたのですが、A社は成功しているとか、B社はやらないと言っているとか、みんなバラバラなことを言っていました。偉かったのはスティーブ・ジョブズですね。ジョブズがアップル社としてフラッシュを使わないと宣言したのです。要するに、オープンでやるHTMLを使うと。これは未来を見据えた彼の素晴らしい業績だと思います。

Webとの関わりはじめ

isshiki

一色 小松さんは、Webの技術にずっと携わっておられるトップ技術者ですね。Webに関わるようになったのはいつ頃ですか。

小松 難しい質問です。中学生の頃はまだWebはなかったです。私が入社した1997年はインターネットの初期でした。

一色 1997年ですか。懐かしいですね。私がWeb端末を製品で出したのが2002年でした。私が1999年に「Webがビジネスになる」という提案を書いた頃に入社されたのですね。

小松 はい。入社する直前ぐらいに白黒のブラウザが初めて出ました。

一色 私が小松さんに出逢った時に、日本にHTML5のコミュニティがあると聞いて、私はすごいなあと思いました。

小松 コミュニティは当時1000人を超えていたと思います。今は6000人弱ぐらいです。

一色 だいぶ中身も変わりましたね。あの時は「HTML5というのは何か」とみなさん言っていました。アウトプットとしては何が膨らんできたのですか。

小松 カバーする領域が増えました。2010年には、ブラウザ単体でビデオが流せるとか、絵が描けるとか、広がってきました。ブラウザ自体の適用範囲が広がってきたのが去年ぐらいからでした。いろいろな他の産業を巻き込んでいます。いわゆるWeb産業と他の産業が融合していき、その融合でいろいろなビジネスができそうだ、というように変わってきたのが一番大きいところです。

一色 だいぶ浸透したということですか。

小松 業界ごとに違います。テレビでは、ハイブリッドキャストが実際に製品として出てきているという意味では、浸透が始まった段階と言えます。自動車産業ではこれからです。でも、カーナビなどで浸透が進んでいるのではないかと思います。コミュニティに入ってHTML5の技術をいろいろ知ったり、人脈を作っていって、それを自分の業務にフィードバックしていくということが行われています。

リアルタイムコミュニケーション

一色 小松さんが「Websocketだ」と言って実装してくれて、私はデモをやらせて頂いて、たくさん使わせていただきました。

小松 Googleで、面白い例(※1)として紹介されました。

一色 Webの技術があのようにインターネットと組み合わされると、あれだけの効果が出せるんですね。あれはNTTコミュニケーションズさんらしい立派な成果でした。インターネットの中で、Webでリアルタイムに近いことをやれる技術だったわけですから。

小松 それまでのWebというのは、インターネットの本当のポテンシャルを使いこなせていませんでした。それがHTML5で使いこなせるようになったのです。

一色 最近聞くWebRTC (Real-Time Communication)というのはどうですか。

komatsu

小松 あれも本当に面白く、最近結構注目してやっています。今度のORFでもWebRTC絡みでWebテレフォンのようなものをやります。端末同士でお互いに、例えばビデオチャットのようなものをやろうとすると、今まではサーバーに1回上ってが必要でしたが、WebRTCではダイレクトにP2P(ピアトゥーピア)で通信できます。サーバーにはセッションネゴシエーションのために最初だけ介します。

一色 お互いにJavaスクリプトがあるとP2Pで接続される、そのようなイメージですね。

小松 どんどん範囲が広がっていきます。一色さんのお好きなところでは家電連携ですね。P2Pの技術が乗ってくるとかなり面白いと思います。リアルタイム性が上がり、ユーザーにとってサービス性が向上します。 

一色 そういう技術は日本がリードしなければいけないと思うのですが、これからどういう技術が広がれば世の中が良くなると思いますか。

小松 ビジネスモデルとしてどうかは別の話ですが、テクノロジーやポテンシャルの点では、ネットワークをはじめいろいろなもののポテンシャルをどんどん引き出して最大限に高めた中で、Webのサービスが作られていくと思います。

一色 WebやHTML5の技術がインフラの技術やポテンシャルを上げていく。それは素敵ですね。

小松 テレビも車もそうですし、いろいろなものがお互いに隠れたポテンシャルを引き出してくれるかもしれません。

一色 今やっているJavaスクリプトで足りるのですか。

小松 現状では足りません。それをどんどん広げようとしているのがW3Cの仕様化の動きだと思います。将来的に本当にそれだけでできるのかは、今予測することは難しいです。

isshiki

一色 どんな領域を広げますか。

小松 私たちのビジネスで言うと、何でもまずつなげるというのが基本になりまして、それから具体的なビジネスを増やしていきます。Webの技術を使っている例で言いますと、弊社の協力会社にセットトップボックスのサービスをしている会社があります。スマートフォンとセットトップボックスをつないでリモコンにするというサービスをやっていますが、それにはWebSocketsを使っています。WebRTCはプロダクトとして使えるレベルまではまだいっていない技術ですので、例えばこのような形で製品として技術を使っています。

一色 前にどちらかで見せていただきましたが、テレビ会議のようなことができると言っていましたね。

小松 はい、それがWebRTCです。

一色 オープンなソースでできるというのはすごいですね。本来人が「あるといいな」と思ったり、本当に使いたいものにだんだんなっていきますね。低コストになっていますか。

小松 はい、ブラウザ自体が無料ですから、コスト革命だと思います。それにテクノロジーの進化も相まって、表現力、できることが増えていきます。その中で、今後どのようなビジネスモデルを描いていくかということが、もう一つの課題だと思います。

一色 その中にある技術が良くなればユーザーは使いやすくなりますね。今信じられないことに、携帯電話でアメリカの向こう側にいる人とチャットできて、テレビ会議ができて、昔は手紙で1週間かかっていたことを思うと、これはすごいことですね。

小松 そこの時間は本当に変わりました。

コミュニティの力

komatsu

小松 インターネットやWebで何がすごいかという話をよくすることがあるのですが、Webそれ自体がすごいのではなくて、それを使う人間がすごいと私は思っています。人と人とのコミュニケーションが非常に簡単に、より情報量が多く、スピーディーにできるということによって、情報の流通が盛んになっていきますし、それぞれの人と人が集まることによって新しいものができます。人間が持っているポテンシャルというもの、コミュニケーションによって新たに生み出されるポテンシャルというものを、Webがうまく引き出しているのではないかと思います。テクノロジーというのは基本的には縁の下の力持ちです。

一色 コミュニティが6000人ですから、慶應でやっている今の活動とNTTコミュニケーションズさんがやってくださっている活動と含めて、日本全体でやっていくというのは、とても重要だと思います。

小松 はい。日本人同士がもっとコミュニケーションを取っていくことが重要です。コミュニケーションの一つの土台としてWebがあり、人と人をつなげるコミュニティがあります。そういったコミュニティのオーガナイザーとしても、コミュニケーションという一つの会社に勤める人間としても、何かしら貢献していけたらと思います。

一色 最近、HTML5を定着化させるという話をしていくと、いろいろなデバイスで動きが違うとかいう話が出てきて、テスティングと言われていますが、こういうことは小松さんのところでもいろいろ関わっているのですか。

小松 コミュニティベースで関わっています。そのようなデバイスを含めて、まだ安定はしていません。安定させる一つの要因はやはりテストだと思っています。何万、何十万とテスト候補があり、それを全部きちんとテストを書いて、含めていかなければなりません。それは、オープンソースの考え方ですね。みんなでどんどんコミットしていくという考え方です。

一色 仕様が膨らむのを追いかけてみんなでやっつけようとする、すごいビジネスモデルだと思います。これをボランティアベースでやっていますから。今、W3C全体の中でもTest The Web Forwardという活動がありまして、これはコミュニティの力に依存しています。MITの人たちと話をする時、日本には大きなコミュニティがあると言っています。小松さんがやっているHTML5の活動が注目されています。どうしてコミュニティを始めたのですか。

小松 楽しかったからです。ブログは、私はそれ以前からやっていました。もともと白石さんとGoogleの及川さんが、日本の中でHTML5を盛り上げていこうという形で始まったのがコミュニティの始まりです。最初は小さな会合であったところに私が興味本位で参加させていただいたら、何となくそれを支える立場になっていきました。基本的にボランティアなので、ゆるいつながりです。

一色 だいぶ育ちましたね。いまさらゆるいとは言い難いところがありますね。

小松 基本はゆるいです。最初からW3Cさんとは良い関係を作らせていただきました。

一色 W3Cもゆるいですから、そういう意味では位相が合いますね。W3Cの会議に来て頂いて、だいぶ人数が増えましたよね。

小松 はい、倍々ゲームですね。

縦書き文化

komatsu

一色 せっかくなので、W3Cでは、日本のためになればいいと思っていることとして、Webを教科書に使いたいと考えています。ところが、ルビができないとか、大きな文字がだめだとか、縦書きがとかいう話になって、その辺をしっかり解決しないといけません。この辺をぜひ一緒にやりたいと思うのですが。

小松 そうですね。そういった日本が得意とする領域、日本が指導すべき領域というところのテスト項目、安定化させて仕様化を進めるに当たってのテスティングはとても大切で、そこに焦点を置いたテストを進めたいと思っています。書式というのは文化ですから、文化は大切にしないといけませんね。

一色 Webベースにできるようになれば、世界中で使えるようになります。日本人の子どもがアジアやアフリカや、いろいろなところにいますが、教科書が古いものしか渡っていません。それが、一番新しい教科書がいくようになります。この前とても面白いことを言われました。日本は秋ですが南半球に行くと冬ですので、コンテンツを秋と冬で替えてほしいという要望です。印刷された教科書では絶対にできません。縦書きを文化として教えるために、日本語の教科書は縦書きができないとだめだと思います。他方、Webで縦書きができることさえ広く知られていないという現実もあります。そういうところで、コミュニティの力というのは重要です。みんなで「そうしたい」と言わないといけません。

小松 啓蒙活動やロビー活動というのはとても大切です。

一色 これができるようになると、教育の現場がもっとフレキシブルになる可能性があります。

小松 フレキシビリティはWebの一つの特徴ですね。それが教育現場に入っていくというのはいいですね。

一色 今回、慶應とERCIMとで縦書きのことに関してHTML5で入れられる分だけ入れようということでやり出したのですが(※2)、それはそういうことの一環です。村井純も「縦書きは文化」と言って推進しています。

小松 ぜひコミュニティとしても、そこに力を入れていきたいです。

Open であること

一色 家電との連携をやりませんか。どんどんリアルタイムになっていきます。エアコンでも洗濯機でも、端は絶対にWebになってしまいます。そうすると、しゃべる洗濯機とかしゃべる冷蔵庫が出てきます。Web技術でやってみたほうが作りやすいですね。みんなが作れます。

komatsu

小松 オープンというのはやはり必要ですね。期待はリアルとWebとのつながりです。

一色 日本もやっと得意な領域が出てきますね。

小松 日本は「ものづくり」ですから。そこに新たな活性化要素を入れていけたら良いと思います。ひいては、みなさんが弊社のネットワークを使っていただければ、インフラ会社としては非常に嬉しいです。また、国内だけの視野ではいけないと思います。線がつながると、それでサービスができますが、その代わり競争相手もどんどん増えます。ですから、弊社のネットワークビジネスでクラウド系のサービスは、グローバル化をどんどん進めています。それで、サービスやオペレーションをどんどん共通化していくというのが一つの重要な命題です。

一色 サービスインフラを共通化してコストを下げられるようにしていくために、どんどん増やしていくということですね。オープンなプラットフォームにそろえることによって全ての可能性を作るということが大事なことです。そのオープンなプラットフォームを作ろうということを、コミュニティとして広げようとすること。それがオープンソースの文化なのです。W3Cの原点でもあるのです。ロイヤリティーフリーで誰もが使えるオープンな世界を作る。そういう意味では、HTML5になってから、もしくはなろうとしてからは、歴史に残る、とても素敵な時をみなさんと一緒に共有しました。Open Web Platformと呼ぶようになって、いろいろなデバイスに入るようになって、ここからどこまで正しいオープンの仕様のあり方を維持していけるかというのは結構難しいことです。だんだんお金が絡み出してきていますから。その中で、またオープンな力といいますか、Platformを広げるという気持ちを丁寧に作っていかないと崩れ去りますね。NTTコミュニケーションズさんは、日本のインターネット企業として、またコミュニケーション企業として、Webをしっかりつなげていかなければいけないと考えていらっしゃいますね。インフラを使うWebが重要で、そのインターフェースを育てないとインフラは育たないという空気が今できています。1人の熱心な光った人が頑張るというのがコミュニティらしい育ち方です。一貫してぶれずに「Webだ」と言い続けて。

小松 これからコモディティ化が進んでいくでしょう。空気のような感じで、実はHTML5を使っていたんだ、とういう感じになっていくのでしょう。一般的であってこそ本当のOpen Web化だと思います。

クリエイティブな世界の広がりのために

一色 自由に、楽に作れる環境が育ってくると、本当に色々な可能性が広がりますね。

小松 クリエイティビティがどんどん入ってきてほしいです。先日、コミュニティベースでの集まりで、MIDIをやっている企業の方とお話しました。あのような音楽系の方は、リモートでジャムする、リモートセッションのようなことをやりたいという希望があるようです。より新たな可能性、クリエイティブな世界が生まれてくると言っていました。W3CにもMIDIの団体が加入しましたね。日本で生まれたMIDIをWebの世界に取り込んで標準化を進めていこうということで。音楽は、クリエイティビティという観点でとても面白いです。

一色 WebSocketsやWebRTCで世界中の楽器がWebベースで全部曲を奏でるというのはすごいですよ。「みなさん、楽器に電源を入れておいてくださいね」と言っておけば、世界中の楽器が鳴る。すごいことです。今はまだ言語の標準化とか言っていますが、もう少し人に近い、感性に近いところ、この中にある技術を使ったところが広がっていくと面白いですね。

小松 センサーと組み合わせて、インタラクティブにプロジェクションマッピングをやる。ああいったものにWebがうまく組み合わさると、面白いことがいろいろ起きてくるのではないかと思います。

一色 何をやるかというほうに重点が移ってくると面白いですね。

小松 人は楽しいところに集まりますから。

一色 技術が表に出てHTMLファンとか言われているうちはだめまだまだですね、HTMLが当たり前にならないと。

小松 「選択肢としてHTML5を使おうか」と言っているうちは、まだコモディティ化していないということですね。普通に、当たり前のように使われていないと。ひと昔前であれがば、それこそ私が入社した頃は「これは電話回線を使ってやろうか、インターネット回線を使おうか」と考えていたものですが、そんな議論を聞くことはなくなりました。

標準化の進捗と今後

komatsu

一色 ベーシックな部分は2014年の春を目指して勧告化して固めるということを推進しています。そこで大体みなさんがやりたいことの6割ぐらいはできるようになると思います。一応それが完成形の一つです。多分そこから「もう少しリアルタイムでやろう」とかいろいろなテーマが出るでしょうから、それを補充していくことになると思います。全部出来上がるのは、まだもう少しかかるでしょう。問題は、そうやって決まったものをプラットフォームにして、いかに感性に近づけるかとか、デザイナーまたはクリエイターたちが面白がって使えるようになるかということです。

小松 まだコモディティ化はしていませんが、そういった動きは出てきています。ベーシックラインがまず固まって、その上に出てくるリアルタイム性、デバイスとのインタラクション、クリエイティビティ性、デバイスとのコミュニケーション性、今はそういう機能がどんどん出てきているという状況です。いろいろな産業ビジネスがWebに非常に興味を持ってきています。そして、いろいろな産業からの要求がW3Cにフィードバックされることによって、Webの仕様や機能がどんどん延びていくと思います。最初テレビ業界から起こりましたが、それによって新しい機能がどんどん組み込まれていっています。これから自動車、MIDI、音響機器といったところが関わってくることによって、またさらにWebがどんどん進化していくのだろうと思います。それこそ、先生がやられている家電とかが入ってくるでしょうし、おそらく完成形というのはありませんね。

一色 非常に面白いものになっていきます。だんだんリアルな、3次元で触れるようにするとか、そういうインターフェースに移るでしょう。今は2次元Webだと思えば、いずれ3次元Webとか、4次元タッチWebというようになってくると、また違うインターフェースが出てくるでしょう。

小松 スクリーンデバイスの進化と、それを支えるWebとのインタラクションというのはかなり面白いと思います。サイネージのような動きがもっと活発になってくれるといいと思っています。

一色 オープンな世界でビジネスを組むというのは結構難しくて、みんな経験がありません。これからどんどんオープンな仕事が来ますから、日本全体でもっと注目してもらいたいと思います。今までは海に囲まれているから平気と言っていたのが通用しなくなってしまうかもしれません。海を埋め立てて地つながりにしてしまいますか。つながれば、途端にNTTコミュニケーションズさんにとっては得意ですね。

小松 一色さんに2、3年前にお会いした頃、よくおっしゃられていたことで印象的なのは次のことです。「日本にHTML5という波が来た中で、会議室の中で喧々諤々どうすべきかこうすべきかとやっている間に、欧米はどんどん物を作ってきて、それで欧米のほうに標準化の波をどんどん持っていかれてしまう。日本企業はフレキシビリティを持たなければならない」。そういう意味でも、現場の人間がどんどん動きやすい環境というのを、日本全体で作っていかないといけないですね。

ORF2013では、村井純、夏野剛とともにお二人が登壇する「Webの未来 ~W3Cの国際標準化活動の取組み~」と題する、NTTコミュニケーションズスポンサーセッションが開催される。多数ご来場いただきたい。

*1 http://wakachi.komasshu.info/

*2 SFC研究所W3CとERCIMは、2013年11月1日、Webテクノロジーの国際化に関する発展、対応、展開という内容で協力していくことについて調印した。

小松健作

Google API Expert (HTML5)。NTT コミュニケーションズ株式会社 先端IPアーキテクチャセンタ担当課長。主な著書は「徹底解説 HTML5 API ガイドブック コミュニケーション系 API 編」(秀和システム)。

一色正男

慶應義塾大学政策・メディア研究科特任教授。2009年1月より、慶應義塾大学教授(現在、慶應義塾大学特任教授)として、国際規格W3C (World Wide Web Consortium)のSite Managerに就任。(株)東芝で約30年、新規技術開発と新規事業開発を中心に働く。