加藤文俊研究室では、人びとの集う「居心地のいい場所(グッド・プレイス)」をテーマに、創造性に富み、活気のある「場所」を成り立たせる要件を、コミュニケーション論の観点から考察しています。「場所」は、たんなる物理的な空間ではなく、人と人とのコミュニケーションが前提となって生まれます。さらに、人びとが自らをどう理解するかは、個人的な課題であると同時に、社会的な関係の理解や自分をとりまく環境とのやりとりにかかわるものです。フィールドワークを中心的な方法と態度に据え、さまざまな現場に足をはこんでいます。
加藤文俊研究室では、全国を巡りながら、「キャンプ」と呼ぶワークショップ型のフィールドワークをすすめてきました。まちに暮らす人びとの想いや生きざまに触れ、調査の成果物としてポスターをつくって還すという過程で、日常生活の豊かさ、複雑さと向き合うことになります。ポスターというメディアは、シンプルながらも、自分の姿をあらためて見つめなおすきっかけになり、私たちのコミュニケーションを促します。ポスターを介して語ることで、これからの人と人とのかかわり方について、あたらしい理解を創造する試みです。