日本にはすでに言語文化的に多様な人々が暮らしており、共生とそのための不断の努力は今後ますます重要になっていきます。本展示では日本社会における「日本語と多言語多文化共生」について、SFCにおける日本語の学習・教育、言語文化的にインクルーシブなキャンパスを目指した取り組み、在日中国人家庭における継承後教育、建築遺産と社会文化的つながり、国際移動する若者の言語習得とアイデンティティ形成など、様々な角度・観点から「日本語と多言語多文化共生社会」について検討を行います。
SFCの日本語研究室では、留学生・帰国生を対象とした日本語クラスだけでなく、留学生・帰国生、日本で育った学生がともに活動に参加し、ともに学習をする機会や場を提供しています。本ブースでは、SFCの日本語クラス、日本語チューター活動、「やさしい日本語」、多文化防災・減災、言語的マジョリティを含む多様な言語文化背景の学生たちの協働など、SFCの日本語教育における様々な取り組みを紹介します。
継承語としての中国語は、移住華僑家庭にとってどのような存在であるべきか、どのような問題点があり、これらの問題点を今後いかに改善できるかについて関心があります。在日中国人家庭だから家庭内では日中の二言語併用だと簡単に思われてしまいますが、成長の各時期において、親と子の間で言語をめぐる複雑なインタラクションが行われていることが分かりました。言語意識、言語使用、言語管理の三つの側面の相互作用が時系列に沿った変化を検討し、この一連の変化ロセスにおける中国語継承の位置づけを探ります。
「遺産」の概念は、世界の動きとともに常に進化してきており、遺産は、観光を促進し、社会を育てるための文化財となっています。本研究では近年、取り壊しの脅威に直面している2つの建物、東京の中銀カプセルタワーとシドニーのシリウスビルを取り上げます。その象徴している意図と動機を、地元住民、関係するコミュニティ、観光客を調査することによって、「遺産」の在り方に疑問を呈し、社会的とのつながりの重要性を検証します。
言語はアイデンティティを確立する上で不可欠な役割を果たします。本研究では言語と文化やコミュニティの狭間で生きることの関係性を明らかにすることを目指しています。具体的には、親の仕事で常に様々な国を移動をする在日米軍の学校のEnglish as a Second Language (母語が英語でない生徒の英語のクラス)の生徒に着目し、将来的には各国に散らばるであろうそのような子どもたちの言語習得と将来に及ぼす影響について検討を行います。