本ラボラトリは、最善の看護実践(ベストプラクティス)に不可欠である、
(1)看護実践の質保証(Quality)を推進する実践研究開発
(2)個別化・最適化した看護実践を現場に浸透・波及(Utility)できる看護リーダーの養成
(3)当事者の価値を尊重する倫理的看護実践の醸成(Explore)
を目指すことを目的としています。
看護ベストプラクティス研究開発・ラボ わかばの会は、様々な看護専門分野の若手研究者が、研究・教育能力の向上を目指すために発足しました。若手ならではの発想や行動力を基に、創造的に研究に取り組み、これからの看護のあり方や大学教育の充実へ貢献したいと考えています。今年度は、若手教員として、教育力を高めていくことを目標に活動しています。国内外の看護学領域はもちろん、他の学問領域で取り入れられている研究手法にも目を向けながら、次の(次の)看護教育を担っていく私達に必要な知識やスキルを探求しています。
遺伝/ゲノム情報解析技術の発展は目覚ましく、その情報を活用した医療が様々な領域で拡大されています。特にがん医療では、ゲノム情報を活用した診断・治療が浸透しつつあり、看護師の担う役割も広がってきています。がん看護専門看護師が、実際にどのような役割を担い、学習ニードを持っているのかを調査した結果と共に、現在実施されている看護師向けの教育プログラムを紹介します。
慢性疾患患者の増加、在院日数の短縮、外来で提供される医療の高度化などにより、医療依存度が高かったり、日常生活に支援を要したりする外来患者が増えています。しかし、外来看護師は通常業務に追われており、患者のニーズを把握して適切な助言を行ったり支援につなげたりすることは難しいのが現状です。ここでは、外来看護師が外来における在宅療養支援ニーズについてどう考え行動しているかを示すとともに、外来患者の日常生活や抱えている課題についての調査結果もお示ししたいと思います。
肺高血圧症は、労作時の息切れや動悸、胸痛、失神などを主訴とする稀少難病で、近年の医学の発展により様々な効果の高い薬剤が開発されてきています。しかし、日常生活上では「走らない」「階段をのぼらない」等の活動の制限を余儀なくされ、仕事や社会的役割の喪失など様々な苦痛を抱きやすくQOLの低下につながりやすい状況にあります。そのため、患者さんが自分らしく活き活きと暮らしていけるための看護支援提供を目指して研究や患者会での講演、ワークショップの開催等の活動を行っています。
日本における児童虐待の通報件数、相談件数は増加しており、虐待者の内訳をみると、実母、実父による虐待が8割以上を占めています。専門家による介入の遅れによって悲惨な結果を招く事案が減少しない現状があり、虐待防止、および被虐待児、虐待した両親への支援は重要な課題です。今回、虐待加害者となる男性の「外傷体験」からの回復に注目し開発されたフィンランド支援ツールの日本語版パパカードをご紹介するとともに、子育て中の父親メンタルヘルスについて考える機会にしたいと考えます。