人間にとって音楽とは一体何でしょう。なぜ、私たちヒトの心や身体には、音を愛でたり讃えたり、歌ったり踊ったり、音を楽しむ能力が備わっているのでしょうか。私たち人間が生きる環境に存在している音楽は、ヒトの文化・進化・発達の起源や、社会性や創造性、知覚、認知、運動、記憶、情動、学習といったヒトの脳機能を理解する上で、極めて重要な研究対象です。音楽神経科学(NeuroMusic)は、神経生物学、生理学、心理学、神経心理学の知見を統合し、ヒトの音楽性の脳内起源を解き明かすためのサイエンスです。
民族・知覚・比較音楽学を研究しているパット・サベジと申します。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC) 環境情報学部の特任准教授です。世界の音楽の比較研究に積極的に取り組むことで、音楽自体だけではなく、音楽の文化的・生物的多様性との関係の理解を深めるべく研究を続けています。