21世紀の私たちの生活に深く根ざしている様々な科学技術や社会制度、産業は、その原型が100年前には作られていました。それらの技術や制度、産業は、社会に浸透するにつれて人類を豊かにすると同時に、多様な問題を産むに至り、現在、それらを解決することが人類の課題となっています。未来に目を向けてこのことを考えみると、100年後の社会に浸透しているであろう技術や制度、産業を、今、芽生えさせなければならないと言えます。その芽とは一体何でしょうか？

SFCでは、25年前に、学部長たちが学生を指して「未来からの留学生」と表現したことからも分かるように、未来の目で、今を考え分析し、今ある問題を解決しつつ、新しい何かを常に作り出していくことが役割であると考えています。この何かが、まさに、未来の社会に根ざす技術や制度、産業の芽であり、幾つかのそれは既に大きく育って社会を変革しています。

SFCの25年目に開催する今回のORFでは、SFCに生えた次世紀の芽を六本木に移して、皆さまに触れていただきながら、ともに100年後を考えていきたいと思います。

2003年3月慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。博士（政策・メディア）。同大学同研究科特任教員を経て、2013年より、同大学環境情報学部准教授。ユビキタスシステムやミドルウエアシステム、ディペンダブルシステム等のシステムソフトウエア研究に加え、スマートシティのためのセンシング、住民への情報の還流、ウェブマイニング、ライフロギング等の応用研究を含む、幅広い研究を進めている。