山形県鶴岡市では、SFC、医学部、健康マネジメント研究科と地元行政および医療機関が協働しながら、地域住民の健康とウェルビーングを向上するための複数のプロジェクトを展開し成果を上げています。ORF2019では、地域住民の健康とWellbeingを目的に、コミュニティ参加型のアクティブラーニングの手法を用いた実践的な複数の研究成果を伝えることで、人口の超高齢化、地方都市の衰退が進む国内の多くの地域の参考になる知見を提供します。
「からだ館」は開設12年になる「学びの場」のプロジェクトです。地域住民の健康とエンパワメントを目指した、様々なユニークな活動を通して、エンパワメントのノウハウの精緻化と帰納的な理論化を行ってきました。具体事例としては、2018~2019年度実施の、①住民参加型アプローチを用いた「健幸かるた」の作成と普及、②医療資源の乏しい地域におけるがんピアサポーター養成プログラムの実施と評価、③小学生を対象に大学生が創るがん教育プログラムを紹介します。
小学校3,4年生を対象に「がん」について伝えるワークショップを、SFCの学生とからだ館が共同で企画・実施しました。子どものがん教育は、国のがん対策推進計画でも、その理解度のばらつきや伝え方の問題点などが課題となっています。私たちは、夏休みの自由研究という機会をつかって、遺伝や細胞といった生物学的なレベルから、患者会などがん患者を支える地域の社会資源まで、幅広い知識をアクティブラーニング的な手法で伝えることに取り組みました。
2012年度より、地域住民1 万人以上を25 年以上にわたって追跡する疫学研究「鶴岡みらい健康調査(鶴岡メタボロームコホート研究)」を、慶應義塾大学、2012 年度から、鶴岡地区医師会、地域基幹病院等の連携によって開始し、今までわからなかった体内の代謝と健康の関連が次々と明らかになってきました。国際学会等で発表した最新の成果をご紹介する予定です。