PROTO - UNIVERSITY 大学は世界の新しい姿を描けるか?

過度に細分化し膠着状態にあった大学を打開するために、慶應義塾は24年前にSFCを創りだしました。プロジェクトベースの実践型研究、インターネット講義、多言語教育、AO入試や9月入試など、SFCは世界に先駆けて先駆的な大学の姿を提示し続けてきました。しかし、四半世紀が過ぎ、これらの試みは多くの大学で一般化しつつあります。その根底を支えていた情報インフラや総合的な問題解決アプローチも、もはや特別なものではありません。加えて、無料で配信されるオンライン大学講義のMOOCやiTunes-Uが急速に普及している現在、大学は大きな転換点を迎えているといってよいでしょう。

そこで、今年のORFは「PROTO-UNIVERSITY」というテーマで開催することにしました。PROTOとは細分化し最適化された構造を得る以前の、原始的で未分化な状態を指す言葉です。PROTO-CELL(原始生命)は地球に最初に誕生したとされている生命体、PROTO-SCIENCE(未科学)は科学的検証を経てはいないものの我々の世界観を揺るがす可能性を持った革新的仮説のことを指します。今年のテーマであるPROTO-UNIVERSITYは、母体内の未成熟の胎児のようにどんな形にも進化しうる可能態として、大学の未来の姿を考えてみようということです。

今年は開催フォーマットに関していくつか新たなチャレンジがあります。これまで実施してきた展示とセッションに加えて、新たにワークショップとサテライトイベントが加わります。ワークショップは従来型の「見る」「聞く」から、身体を介在させた「創る」「体験する」への発展であり、サテライトイベントは場所性や同時多発性を研究発表に組み入れようとする試みです。更に、これまで2日間開催だった会期を1週間に拡大し、ORF WEEKとして研究発表を展開します。

このような多様性と多次元性をもった新しいORFを通して、私たちは皆さんと一緒に大学のあるべき姿を胎児の視点で考えたいと思います。その先にPROTO-UNIVERSE(世界の新しい姿)も見えてくるのではないかとの願いを込めて。

ORF2014実行委員長 環境情報学部 教授 脇田玲

開催日程、場所:

 2014年11月17日(月)~22日(土)
・サテライトイベント:17日(月)~20日(木)
 SuperDeluxe ほか、都内各地のフィールド
・メインイベント :21日(金)、22日(土)
 東京ミッドタウン ホールB1F、ニコファーレ

開催概要:

ORF WEEK中7つのサテライトイベントを実施するほか、 メインイベントの2日間で150を超える研究成果の
展示発表、 経済界や行政の論客を招いての40のトークセッション、来場者が自ら「創る」「体験する」ことができるワークショップ、などを予定しております。

メインイベント:

 11月21日(金)
・東京ミッドタウン【展示・ワークショップ・セッション】10:00-20:00(9:30 開場)
・ニコファーレ【セッション】13:00-21:00(12:30 開場)

 11月22日(土)
・東京ミッドタウン【展示・ワークショップ】10:00-18:00(9:30 開場)
         【セッション】10:00-19:30(9:30 開場)
・ニコファーレ【セッション】10:00-19:30(9:30 開場)

開催テーマ:

PROTO-UNIVERSITY プロト・ユニヴァーシティ

主催:

慶應義塾大学SFC研究所

入場料:

一部を除き、無料、事前登録不要

お問合せ先:

慶應義塾大学SFC研究所ORF事務局
E-mail:orf-info@sfc.keio.ac.jp
Telephone:0466-49-3436
実行委員長:
脇田玲
環境情報学部 教授
1974年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。博士(政策・メディア)。ラティス・テクノロジー株式会社にてソリッドモデリングカーネルの開発、軽量3Dデータフォーマットの標準化に従事。フリーランスを経て、2004年より慶應義塾大学環境情報学部専任講師。同准教授を経て、2014年より同教授。プログラム可能な素材、流体力学を応用した表現手法など、デザインのための新しい素材・ツール・方法論の研究に従事する。主要著作に『デザイン言語入門』(慶應義塾大学出版会、2009)、『Matter in the Floating World』(Princeton Architectural Press、2011)、『Access To Materials』(BNN新社、2013)がある。
顧問:
小川克彦
SFC研究所 所長/環境情報学部 教授
1954年生まれ。1978年に慶應義塾大学工学部修士課程を修了し、同年NTTに入社。画像通信システムの実用化、インタフェースデザインやウェアラブルシステムの研究、ブロードバンドサービスや端末の開発、R&D戦略の策定に従事。NTTサイバーソリューション研究所所長を経て、2007年より現職。工学博士。専門は、コミュニケーションサービス、ヒューマンセンタードデザイン、ネット社会論、モビリティシステム。主な著書に「つながり進化論」(中央公論新社)、「デジタルな生活」(NTT出版)がある。
熊坂賢次
環境情報学部 教授
1947年1月28日生まれ、東京都出身。現在、慶應義塾大学環境情報学部教授(シニア有期)。専門はライフスタイル論と社会調査。1984年「素顔なんて、ないの」というゲームブック形式の調査で新しい方法論に目覚め、2000年にはiMapというインターネット調査を実施、つねに社会調査に革新的で社会実験的な手法を導入する。その後、柔らかい構造化手法を開発し、インターネット上のビッグデータから社会文化現象を計量的に解釈しようと、若手の研究者と一緒になって、必死に楽しく模索中。
副実行委員長:
中澤仁
環境情報学部 准教授 ORF担当:ネットワーク構築
2003年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。博士(政策・メディア)。 同科特任教員を経て、2013年より、同環境情報学部准教授。ユビキタスシステムやミドルウエアシステム、ディペンダブルシステム等のシステムソフトウエア研究に加え、 スマートシティのためのセンシング、住民への情報の還流、ウェブマイニング、ライフロギング等の応用研究を含む、幅広い研究を進めている。
実行委員:
井庭崇
総合政策学部 准教授 ORF担当:ワークショップ
慶應義塾大学総合政策学部准教授。博士(政策・メディア)。専門は、パターン・ランゲージ、システム理論、創造技法。建築分野で考案されてソフトウェア分野で普及した「パターン・ランゲージ」の考え方を、いろいろな創造的な人間活動に応用する研究・実践に取り組んでいる。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院 Center for Collective Intelligence 客員研究員等を経て、現職。編著書・共著書に『複雑系入門:知のフロンティアへの冒険』(NTT出版、1998年)、『社会システム理論:不透明な社会を捉える知の技法』(慶應義塾大学出版会、2011年)、『プレゼンテーション・パターン:創造を誘発する表現のヒント』(慶應義塾大学出版会、2013年、2013年度グッドデザイン賞受賞)、『パターン・ランゲージ:創造的な未来をつくるための言語』(慶應義塾大学出版会、2013年)など。2012年にNHK Eテレ「スーパープレゼンテーション」で「アイデアの伝え方」の解説を担当。
中室牧子
総合政策学部 准教授 ORF担当:未来の政策コンテスト
1975年奈良県生まれ。1998年に慶應義塾大学環境情報学部卒業後、Columbia University、School of International and Public Affairsで修士課程を修了(2005年、MPA)、Columbia University、Graduate School of Arts and Scienceで博士課程を修了(2010年、Ph.D.)。日本銀行では、調査統計局や金融市場局において、実体経済や国際金融の調査・分析に携わった経験をもつほか、世界銀行では、欧州・中央アジア局において、労働市場や教育についての経済分析を担当した。東北大学文学研究科グローバルCOE「社会階層と不平等研究教育拠点」では、国内外の研究者らとともに、国際移動の経済分析に携わる。
松川昌平
環境情報学部 専任講師 ORF担当:展示・空間デザイン
1974年生まれ。建築家、studio000主宰、慶應義塾大学環境情報学部専任講師。1998年、東京理科大学工学部建築学科卒業。1999年、000studio設立。2009-11年、文化庁派遣芸術家在外研修員および客員研究員としてハーバード大学GSD在籍。2012年より慶應義塾大学環境情報学部専任講師。建築の計算(不)可能性を探究。アルゴリズミック・デザインの研究、実践を行う。共著に『設計の設計』(INAX出版、2011)、訳書に『アルゴリズミック・アーキテクチュア』(彰国社、2010)など。
水野大二郎
環境情報学部 専任講師 ORF担当:Preliminary Session
1979年東京生まれ。デザイン研究者。2008年、Royal College of Art ファッションデザイン博士課程後期修了。芸術博士(ファッションデザイン)。2012年から慶應義塾大学環境情報学部に専任講師として着任、デザインと社会の関係性を批評的に考察し架橋する多様なプロジェクトの企画・運営に携わる。主な活動にDESIGNEAST実行委員、社会的包摂を目指すインクルーシブデザインの普及・実践活動、fablab japan network、蘆田裕史とファッション批評誌『vanitas』の共同責任編集、共著書に『x-DESIGN』、『Fabに何が可能か』、『インクルーシブデザイン』、『リアル・アノニマスデザイン』、『fashion design for living』などがある。
小林正弘
看護医療学部 教授 ORF担当:看護医療学部連携
1985年、慶應義塾大学医学部卒業。博士(医学)。形成外科医師。慶應義塾大学病院研修医、専修医を経て、1993年、慶應義塾大学医学部専任講師(形成外科学)。2001年、慶應義塾大学看護医療学部助教授(先端医療分野)。2005年、同教授。
研究領域は、形成外科学、先端医療技術、コンピュータ支援外科、コンピュータ・光造形法モデル(3Dプリンタによる臓器モデル)による手術シミュレーション、レーザー医学など。日本シミュレーション外科学会理事、日本バーチャルリアリティ医学会幹事。 医療法人社団慶緑会あまきクリニック副院長。 1995年、「形成外科におけるコンピュータ支援外科-光造形法3次元実体モデルの手術シミュレーションへの応用-」東京都医師会医学研究賞受賞。
梅嶋真樹
政策・メディア研究科 特任講師
外資PR会社とベンチャー起業を経て慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程へ進む。 その後、同大学院政策・メディア研究科特任講師を経て、現在は、政府が進める成長戦略である官民連携インフラストラクチャ輸出と連携、主な活動拠点をASEAN諸国に移して活動中。SFCで学んだ自律分散協調の設計概念をASEAN諸国でのインフラ開発に適用している。最近の最大の設計物は、我が国の電力インフラ再構築の要諦であるスマートメーターインフラにおけるIP実装と消費者向けデータ開示の実現。現在挑戦する新たな設計は、過疎地域でも実装可能な新たな携帯通信事業の確立と電気自動車やエアコンなどの家電がインターネット接続する仕様に関する標準化の実現。また、ライフワークで我が国の高等学校以下の遠隔授業の合法化の官民連携に取り組む。
外部実行委員:
江渡浩一郎
独立行政法人産業技術総合研究所 主任研究員
独立行政法人産業技術総合研究所主任研究員/ニコニコ学会β実行委員長/メディアアーティスト。1997年、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。2010年、東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了。博士(情報理工学)。1997年、アルス・エレクトロニカ賞グランプリを受賞(sensoriumチームとして)。2001年、日本科学未来館「インターネット物理モデル」の制作に参加。2011年、ニコニコ学会βを立ち上げる。ニコニコ学会βは、2012年にグッドデザイン賞、2013年にアルス・エレクトロニカ賞を受賞するなど高い評価を受ける。産総研では「利用者参画によるサービスの構築・運用」をテーマに研究を続ける。主な著書に『パターン、Wiki、XP』、『ニコニコ学会βを研究してみた』、『進化するアカデミア』。

個人情報の取扱について